Ihr starker Partner rund um den Wald

春からお世話になる予定の事務所に行ってきました。
 


この街で工業地帯に位置する一角にカラフルな建物がありました。
どうやら農業関係の事務所と一緒のようですね。
 

WBV Aichach e.V. (Waldbesitzervereinigung Aichach eingetragener Verein)
直訳すると、社団法人アイヒアハ森林所有者協会でしょうか。
日本の森林組合のような団体だと思います。
 

事務所のミーティングルームのような場所で1時間半ほど話しました。
Geschäftsführer(代表)さんは親切な人で、なにか必要なものはないかとか生活は大丈夫かとか色々と気にかけてくれました。
6月には大きなイベントが3つほどあり、それにも参加してほしいとのこと。
ひとつはオランダへの研修旅行を予定しているそうなので、今から楽しみです。
代表さんはなんと!指揮者をしていて、海外遠征もよく行くようなすばらしい音楽家でした。
なんと!奇跡の出会いに感謝。
音楽もお世話になります。
  

事務所の至る所に木々のテンプレートや林業関係の情報があるので興奮します!
 

ドイツにある森林の位置図です。
南の方はやはりアルプス、バイエルン国立森林公園、黒い森のあたりが目立ちますね。
このマップ、ほしい!! 
 

アイヒアッハは小さな街ですが、千年以上の歴史があり自然が多い街です。
雪が積っていたせいか街はすごく静かに感じました。
お菓子屋さんにはバイオリンのチョコレートがありました。
プレゼントによさそうですね。
 

駅の待合室には本棚がズラリと並んでいて持ち帰り自由になっていました。
いらなくなった本もここに置いて再利用するのですね。
かみつキッドも面白そうな動物生態の本を一冊いただきました。
古いですが興味深い!
 
ひとつずつ現場に近づいていると思うとうれしさがこみ上げてきますね。
頑張ろう。
 

 

【文献】林業と環境-第2章10節 森林の文化的機能

 人に対して森がもっている作用は収穫機能や保全機能、休養機能だけではありません。森林と国民性や国民の民族的特色の間には密接な関係があるのです。ハーゼルさんによると、平地地帯の交易の多い地方の住民は、軽快・開放的・饒舌で商才があるが、森林の多い山岳地帯の住民は忍耐強く、独立的・無口・無欲で沈思する傾向があるそうです。 
 
 森林と国民性の関係は Wilhelm Heinrich Riehl によって100年以上前に研究され、彼の名著「Land und Leute (土地と人)」に記されています。
 
 森林家は、経済的理由から森林の維持を図ろうとするが、社会政策的理由による森林の維持も重要である。森林を根絶すると歴史的な市民社会は崩壊する。原野と森林のコントラストをなくすことはドイツ民族から生活要素を奪うことである。人間はパンだけでは生きていけない。われわれは仮に木材を必要としなくなったとしても、森林を必要とするであろう。肉体を温めるための木材をもはや必要としなくなっても、精神を温めるための森林の緑の活力と生長力の中になるものがますます必要となる。国民生活の脈動を暖かくそして、楽しく打ち続けさせるために森林を維持しなければならない。
 
 Hornsmann (1958) さんは言語、習慣、童話、伝説、歌曲、建築、絵画、詩、音楽に及ぼす森林の影響を指摘しました。姓名の中にも森林に関係のあるものがあります。Blatt、Zweig、Baumがそれ。多くの民話、例えばヘンゼルとグレーテル、赤ズキン、白雪姫、は野生動物や魔女の住む大きな暗い森林のなかでストーリーが展開します。
 
 偉大な音楽は自然と風景の数々の印象を再現しています。例えば、ハイドンのオラトリオ「四季」、ベートーベンのシンフォニー6番「田園」、ブラームスのシンフォニー2番、”Parsifal”の第3幕の Karfreitagszauber、さらに、ブルックナーやマーラーのシンフォニーとシュトラウスのアルプスシンフォニーが挙げられます。特にロマン派には、ウェーバーが”魔弾の射手”と”Euryanthe”で森林での体験を表現しています。シューベルト、シューマン、メンデルスゾーンの歌には森林の空気が息づいている。
   
これらの作品には、ドイツ人がいかに森林に愛着をもっているか、そして森林がドイツ人の故郷であり、力の源泉であることを言葉以上に的確に表現している。
 

Eine Geschichte von meinem Traum ひとつの夢のお話

『たとえばもし』

比良山系を登るとこんな道があるとします。

山の中の森は針葉樹も広葉樹も色んな種類の木々が植生しています。
光環境もちょうど良いです。
シカやキツネも時々顔を見せます。
 

もちろん、山道なので狭い道もあります。
 
そしてこんな大きな道も。

平日は山や森で仕事をする人達が主に利用し、休日になるとマウンテンバイクで登るグループ、犬と一緒に登る家族、山でトレーニングするスポーツマン、色んな人たちが色んな目的でこの道を行き交います。
 
頂上まで登ると、そこには山小屋があります。

頂上から見る眺めは本当に素晴らしい。
 
琵琶湖は太陽に反射して輝いてみえます。

 
そんな景色を見ながら、山小屋で乾杯。おいしいケーキも。

 
夕方の山小屋からの景色も素晴らしいものです。

夜には小さな野外コンサートがあって、美しい山と湖を背景に音楽が流れます。
 
 
そんな山が滋賀県にあったらどうでしょう。
きっと、かみつキッドは登りに行きます。
日曜日に家族でお弁当を持って登ってみてはどうでしょう。
好きな人と楽しい時間を過ごすデートコースにしてみてはどうでしょう。
琵琶湖が見える山で子供たちが自然探検してみてはどうでしょう。
気持ちの良い山は人を魅了します。
きっと、たくさんの人が山に登り、この場所をもっと好きになり、自然を心から意識するようになると思います。
 
なぜ、滋賀県にはそんな素敵な山が少ないのか。
なぜ、ドイツには素敵だと思わせるような山が多くあるのか。
 
山の状態は林業に深く関わりがあります。
今の林業経営では採算のとれない森林、林業への魅力をなくす森林所有者、森林や林道の整備不足、獣害と呼ばれる野性動物たち、課題はたくさんあります。
また、森林には災害などから私たちを守ってくれる公益的機能もあります。
 
国が違うから、制度が違うから、地形や気候が違うから、だけで終わらせていいのか。
どこにいても人と森の付き合い方は時代とともに変わります。
今の人々は山と森になにを望んでいるのか。
将来の人々は私たちが残す山と森をどう思うのか。
山と森は人とどう付き合いたいのか。
実はドイツの山と森の付き合い方にそのヒントがある、とかみつキッドは密かに思っています。
これは理屈ではなくて直感に近いのです。
滋賀県には滋賀県の素敵な山の姿があるのでは、と。
かみつキッドは、そんな魅力的な山を歩きながら、琵琶湖を一望しながら、好きな人と話しながら、おいしいものを食べながら、音楽を聴きながら、過ごしていけたらと思っています。
 
はたして、どうすればそれが実現できるのか。
 
これはひとつの夢のお話です。
 

【文献】社会シミュレーションの技法-拡張セルオートマトン

 セルオートマトンを構成するセルは、個人だけでなく他の要素も表現することができます。この本では興味深い例として、Axelrod(1995) の研究を挙げています。同盟や帝国のような政治主体が、それよりも小さな民族国家のような存在から、いかにして創発するのかという問題に取り組みました。Axelrod によると、歴史を通じて新しい帝国は中央当局がそれまでの独立国を支配し、集団的な行動をとる権利を主張することで形成されてきました。また多くの場合、そのような国家は、自らの支配を行使したり、独自に国であると認められる程度に、小さな部分に分割されています。18世紀に新しい主体として形成されたアメリカ合衆国は、構成している13州の上に連邦政府を設立したことで、他国に受け入れられました。今日ではEUが同じようなことを成し遂げようと奮闘しています。それに対して、ソ連は東欧とアジアの準独立国家を初めて併合したが、その後再び分裂してしまいました。ローマ帝国や中国王朝も同じような例として挙げることができます。
 
 これらの変化の本質的な特長は、それらが「内生」であること、つまり帝国や同盟の形成・解体が、外部による手引きなしに行われたということです。そして、全てではないですが、威圧の要素が含まれていました。以上が集合的な主体が形成されるプロセスであり、Axelrod のモデルが焦点を当てているものです。国同士の関係は「貢納」システムとしてモデル化されます。貢納システムでは、個々の主体は、「貢物を納めなければ戦争を起こす」という脅威によって、資産の支払いを要求することができます。強い主体が弱い主体から得た富は、さらにほかの主体から富を得るために用いられます。主体は他の主体と同盟を結んで力を強めることができます。
  
 このモデルのダイナミックスを単純化すると、主体は円周上に沿った1次元の世界に配置されます。全ての主体に、両隣に主体がいるということになります。主体はそれぞれ、すぐ隣にいる主体とだけ相互作用することができます。このモデルは1次元CAの構造ですが、以前の例よりも複雑なルールに従います。各時間ステップで、主体がランダムに選択されて、近傍のどちらかの主体に貢物を要求します。要求された主体は、貢物を送るか、抵抗して戦うかのどちらかによって双方とも資産を消耗します。それぞれの主体は、相手のもつ資産の4分の1を失います。したがって、多くの資産を持つ主体は、もたない主体に対してより強い打撃を与えることになります。これが、このCAの状態変化ルールになります。つまり、セルの状態は、所有する資産量で表され、各時間ステップにおいて資産量がどのように変化するかは、貢納ルールによって決められることになります。また、各時間ステップごとに、ある一定の資産が各セルに加えられるというルールもあります。
 
 主体の相互作用の副作用として、主体はお互いに「コミットメント」を発展させます。2主体間のコミットメントは、次の3種類の関係の結果として強化されます。貢物を送るときの「従属」、貢物を受け取るときの「保護」、2つの主体が同じ側に立って第三者と戦うときの「友好」です。これに対して、2主体が敵対して戦うと、コミットメントは弱まります。主体間のコミットメントは、貢物を送るか抵抗して戦うかの選択に影響を与えます。戦争になった場合、その主体に隣接している主体は、コミットメントが強い側に加担し、そのコミットメントの度合いに応じて資産を提供します。このようにして、隣接主体がお互いにコミットメントをもち、資産を蓄えるような同盟が形成されます。同盟が貢物を得ようとする対象は、その近傍の中の主体のどれかということになります。
 

 
 上図は、このシミュレーションを1000ステップ(年)実行した結果になります。上部のグラフは、各時間ステップにおける各主体の資産量を表しています。この歴史では、1000ステップの間に2,4,10番目の3主体がその資産を増やして、圧倒的な優位に立っています。9番目の主体は、最初は好調でしたが、400ステップ辺りから衰退していきました。主体がもつ資産量の初期分布や、各時間ステップの活動する主体の選択によって、それぞれの異なる歴史が生まれます。被害の大きい戦いが勃発した結果、最も裕福な主体でさえ、激しい資産崩壊に見舞われるというケースも、何度かおきました。図の下部は、1000ステップ実行した後の主体間のコミットメントのパターンを示しています。それぞれの四角の領域における黒い部分の大きさは、行と列の主体どうしのコミットメントの強さを示しています。2,4,10番目の裕福な3主体は、自分の周囲にいる主体とそれぞれ強固な同盟を形成していて、同盟内の各主体は、お互いに非常に強いコミットメントを結んでいることがわかります。
 
 このシミュレーションでは、複数の主体が相互作用するという単純なモデルにおいて、全ての主体が一体となって動くクラスターが創発することが観察されました。Axelrod は、50%以上の水準で互いにコミットメントをもつ隣接主体の集まりをクラスターと定義しています。このようなクラスターのメンバーは同じ振舞いをします。これは、このクラスターのメンバーが、決して最強のメンバーに戦いを挑んだり、クラスター内の弱いメンバーどうしで戦ったりしないことからもわかります。さらに、弱いメンバーは、外部の主体に対しても、戦いを挑むことは稀であって、ただそのような行動に出たときには、最強の主体がその戦いに駆り出されることになり、ときにはクラスターの崩壊につながることもあります。クラスターでは、モデル上の強者が弱者を守っているかのように見えます。そしてそれ以外の主体は、戦争を仕掛けようとするときに、クラスター全体の総資産を考慮していると見ることができます。このことは、アメリカ合衆国が単なる州の集合ではなく、1つの政治主体であるのと同じように、クラスターを事実上の新しい主体とみなすことができることを示唆しています。
 
 シミュレーションの価値は、シミュレーション上の主体と現実の国家の一致度で決まるわけではない、と Axelrod は述べています。実際、彼のモデルでは、シミュレーションを実行するたびに、異なる順番で出来事が発生し、異なるクラスターが形成されるという特徴があり、クラスターが実際に起きた政治発展の歴史を再現するようなモデルをつくることは難しいのです。モデルの価値は、政治学者が探求したいと思うような新しい問題を明確化し、規定していくという点にあります。「新しい主体が創発するための必要最低限の条件とは何か」、「その創発を促進させる要因は何か」、「基本となる主体の数がそのダイナミックスにどのように影響するのか」、「集合的な主体を崩壊させる要因は何か」など、以前では考えることができなかった問題を提起し、現実世界における類似の問題について考えるための新しい方法となるのです。
 
 これまで見てきたような基本的なセルオートマトンは、色々な方法で拡張することができます。第一に、主体がグリッド上を移動できるようにする、という拡張が考えられます。これまでは、主体が「1セルに1主体」というような形で、特定の場所に固定されていたのに対して、この拡張では、主体とその主体がたまたま配置されたセルとを区別することになります。その結果、複数の主体が、1つのセル上に存在する可能性などを考慮にいれる必要がでてきます。第二の拡張は、近傍以外の主体からも影響をうけることができる、というものです。このようなモデルでは、モデル上の全ての主体の状態を集計したものや、その一定割合に依存して主体の状態が変化します。これまで見てきたモデルでは、主体が「記憶」をもっていませんでしたが、第三の拡張として、主体が状態の情報を記憶し、その主体の近傍の状態と自分自身の状態変化の履歴に基づいて次の状態を計算する、ということも考えられます。
 
次回は、以上のような拡張を行っているモデルを取り上げたいと思います。
 

 

Der Konflikt-葛藤

アウクスブルクの夕焼けです。
いつでも誰にでも葛藤はあるものです。

昨日、一年以上かけて少しずつ少しずつ進めたFFⅩがやっと終わりました。
最近のファイナルファンタジーはストーリーが名作映画のように内容が深いものですね。
キャラクターボイスがついたことでより感情が入りやすくなったところとか、召喚士と召喚獣がストーリーのテーマになっているところとか、滑らかなグラフィックもよかった。純粋に感動しました。
といっても、10年以上前の作品ですけど。
やっとかみつキッドのFF経験値も10まで上がりました。
ドイツ語版でやったからわからないところもありましたけど。

続きが気になりますね。

【文献】社会シミュレーションの技法-セルオートマトン

セルオートマトンの特徴は以下の通りです。

  1. セルオートマトンは、規則的なグリッド上に、同質のセルを多数配置したものである。セルは1列に配置することもできるし、2次元平面上や場合によっては3次元の立方体に配置することもできる。
  2. 各々のセルは、「オン」か「オフ」のように、いくつかある状態のうちの1つをとる。
  3. シミュレーションでは、全てのセルで歩調を合わせて時間が進行し、その各時間ステップにおいて、各々のセルの状態が変化する。
  4. セルの状態は、「自分の過去の状態と近傍にあるセルの状態への依存の仕方」が記述されたルール集合によって決定される。ルールは、セルの状態を変化させるために、グリッド上の全てのセルに共通して用いられる。つまり、モデルはルールに関して同質的であるということになる。
  5. セルの状態は、近傍にあるセルの状態だけを参照して変化するので、セルオートマトンは局所的な相互作用による現象をモデル化するのに最も適している。

以上をまとめましょう。

セルオートマトンは、一様なグリッドで表現された空間において、時間ステップごとに進行する世界を想定します。そして、その世界の「法則」は、各セルの状態が「自分自身の過去の状態と近傍のセルの状態によって計算される」という一様なルール集合によって表現されるということです。

以前に、セルオートマトンの基礎とそれを使ったライフゲームについて少し触れました。この本でも同じことが書かれているのでそこは省きます。http://pakkurikamitsukid.wordpress.com/2012/01/12/

一次元CAやライフゲームに見られるように、これまでの例では、セルオートマトンがきれいなパターンを生成できるということを見てきましたが、本来の私たちの関心は、セルオートマトンがどのような社会現象のモデル化に利用できるかということです。ここでは、以外な結論が導き出される簡単なモデルを2つ紹介しています。

ひとつは「うわさモデル」です。一般に、CAによって社会をモデル化する場合は、個人はセルでモデル化され、個人間の相互作用はセルの発展ルールによってモデル化されます。例えば、うわさ話が言い出した人から興味をもった人へ広がっていくということを思い浮かべてみます。ある人はそのうわさ話を知っている人から聞いて、それを他の人に伝えるかもしれません。ただし、その日に隣人と会わなければ、そのうわさ話を広める機会がないことになります。一度うわさ話を聞けば覚えるので、再びそれを聞く必要はありません。

以上のようなシナリオは、CAで表現することができます。このモデルでは、セルには2つの状態があります。ひとつは「うわさ話を知らない」(この状態を白で表す)であり、もうひとつは「うわさ話を知ってる」(この状態を黒で表す)です。セルの状態変化は、フォンノイマン近傍の4つのセルのうち、1つのセルが黒であればうわさが伝わり、白から黒へ変化するとします。白いセルは、周囲の黒いセルからうわさ話を聞いて黒いセルになる可能性が常にあります。一度うわさ話を聞いたセルは、それを忘れないことにするので、このモデルでは、黒いセルが白いセルへ変化することはありません。状態変化のルールをまとめると次のようになります。

これまで紹介してきたルールは、同じ状況が与えられたときにはいつも結果が同じになりました。それに対して、このモデルでは、近傍から必ずうわさ話を聞くわけではなく、単にその可能性があるにすぎないという確率論的なもになっています。このような確率的な要素は、乱数ジェネレータを用いてシミュレートすることができます。ここでは、乱数ジェネレータが0から99の間の整数の乱数列を生成すると仮定します。50%の確率でうわさ話が伝達されるという設定は、第一のルールを次のように実装することによってシミュレートできます。「セルが白い場合には、近傍にある黒いセルの分だけ、乱数ジェネレータから乱数を得る。得られた乱数が50未満の場合には、そのセルの状態を白から黒へ変化させる。」

上図の(a)は、うわさ話の伝達確率が50%の設定で、黒いセルが1つある状態から始めたシミュレーション結果です。うわさ話は、四方八方にほぼ均等に広がっています。うわさ話は、必ず伝達されるわけではないので、黒い領域は完全な円にはなりませんが、時間が経つにつれ、より滑らかな円形になっていきます。(b)は、うわさ話の伝達確率を5%にした場合のシミュレーション結果です。驚いたことにこのような変更をしても、シミュレーション結果にはほとんど差がありません。黒い領域が少しでこぼこになっていて、伝達の可能性が低いので、当然うわさ話はゆっくり広がっていきます。(c)は伝達確率1%の結果です。伝達確率が低いのにもかかわらず、前者2つと似たような形になっています。ただ、600ステップ後という状況ですが。このシミュレーションでわかることは、伝達確率が低いと伝播は遅くなりますが、どのような場合でも局所的な個人間相互作用の大きな妨げにはならないということです。このことは、うわさ話だけではなく、技術革新の「ニュース」や接触によって広まる伝染病などについても当てはまると考えられます。

このモデルでは、人々は一度うわさ話を耳にすれば、二度と忘れることはないと仮定しています。つまり、黒いセルはずっと黒いままなのです。うわさモデルとしては現実的とはいえません。それでは、「忘却」というものをモデルに組み込んでみましょう。「セルが黒い場合には、あらかじめ設定された低い確率で、白いセルへと変化する。」

上図は、うわさ話の伝達確率10%、忘却確率5%に設定した場合のシミュレーション結果です。ところどころにある小さな白い穴は、うわさ話を「忘れてしまった」セルを表しています。しかし、忘れてしまったセルも、伝達確率が高い黒いセルに囲まれているために、またすぐに黒に戻ってしまうので、白い領域が広がることはありません。つまり、伝達と忘却についての仮定を変更しても、全ての近傍からの伝達確率が忘却確率よりも高いのであれば、黒いセルでつくられる円形のパターンは安定的なのです。

うわさモデルは、近傍のうちの誰か1人からうわさ話を聞けば黒いセルになったので、個人対個人の相互作用をモデル化したものといえます。そこで今度は、全ての近傍の状態を合わせたものに応じて、セルの状態が変化するモデルを考えてみます。ある流行について、友人の大多数が取り入れている場合にだけ、自分もその流行を採用するという「多数派モデル」を例に挙げます。ルールはこうです。「新しいセルの状態は、ムーア近傍にあるセルの状態の数が多い方になり、同じ数であれば前回の状態を維持する。」ムーア近傍とは対象となるセルを8つのセルが囲むモデルでした。このルールは、そのセルの周囲に5個以上の白があれば白になり、5個以上の黒があれば黒になり、白と黒が4個ずつであれば前回の状態を維持するというものです。

白と黒のセルがランダムに分布した上図(a)の状態からシミュレーションを実行すると、(b)のような白と黒の小さなかたまりの寄せ集めになります。自分と違う色のセルに囲まれていたセルは、優勢な色に変化するため、周囲から孤立していたセルも一体化して、同じ色のかたまりを形成していきます。たまたま周囲に白と黒のセルが半々だったセルは変化しないままで、それらのかたまりとの安定的な境界を形成します。セルのパターンが斑点模様になると、そのパターンはそれ以上変化することはありません。

ところが、状態変化のルールに少し変更を加えると事情は一変します。ここでは、流行の影響を受けやすい人と受けにくい人がいるということを考えてみます。白いセルには、黒い近傍が4個以下しかなくても黒になるものもあれば、黒い近傍が6個ないと変化しないものもある、とするのです。黒のセルに関しても同様です。このモデルでは、流行に影響されやすいかどうかの度合いがランダムに設定されるので、全体としては各時間ステップで、自分と違う色の近傍が6個で変化するセルと4個で変化するセルの数は同じになります。このような修正によって、全てのセルがある程度の個人差をもつこともできます。

モデルに加えた修正は小さなものでしたが、その効果は劇的です。ひとたび形成されると「凍結」したままであった黒や白のかたまりも、ランダムに設定されたわずかな個人差によって、徐々にゆるめられ、同色の大きな領域へとなっていきます。その過程を表しているのが上図です。(a)は5ステップ後で(b)は19ステップ後です。19ステップ後には、かたまりができ始め、(c)の482ステップ後には、白と黒の大きなクラスターがそれぞれ形成されています。決定論的なモデルと少しランダム性を組み込んだモデルとの間で、マクロレベルの振舞いが異なるということは、セルオートマトンモデルではしばしば見られる特徴なのです。

うわさモデルは、少なくとも1つの近傍から「伝染」するというルールに基づいていて、多数派モデルは、近傍におけるそれぞれの色の数に依存するというルールに基づいていました。どちらの場合も、簡単なルールの働きによって、マクロレベルのパターンが創発することを見てきました。これらのマクロレベルにおけるパターン形成は、ミクロレベルにおけるルールを考察するだけでは、予測することはまず不可能です。どちらの例でも、グリッドを現実の地表を占める人々の配置だとみなすことができます。しかし、モデルと対象となる集団のアナロジーは、直接的に対応させるべきではないし、ふつう対応しているわけでもありません。グリッドは、地理的なもの以外にも、様々な種類の社会関係を表現することができます。

Europakonzert 2010 am Sontag morgen

日曜の朝。
なにげにテレビをつけてみると、ベルリンフィルのコンサートをしていました。
2010年にオックスフォードで演奏されたヨーロッパコンサート2010の録画でした。
指揮者Barenboimさんに、コンマスがあの樫本さんでした。
 

 
かみつキッドが見たのはブラームスの1番だけでしたが、感動した。
2楽章のソロよかった。
いやー、ホント興奮した。
DVDを手に入れてもう一度見たいと思いました。
 
あれ、今日なにをしようとしてたんだっけ??
 

RoteWand-赤い壁を目指して

昨日は2012年初登山をしてきました。

Schliersee(シュリーア湖)近くのRote Wand(赤い壁)というアルプスです。

今季のドイツの冬は大変温暖でしたが、新年になりアルプスの地方は雪がたくさん降りました。

スイスの方では十何年ぶりかの積雪があったとか。

そんなことは関係なくなんちゃって山岳部は登るのです。

ミュンヘンを経由してNeuhaus駅まで電車で、そこからたくさんのスキーヤーに混じって目的地までバスで行きます。

10時半から登山開始です。

今日は標高1884mのRotewandの頂上を目指します。

途中、Rotewand hutteという山小屋で休憩をする予定です。

さあ、出発!

雪道を歩きます。 すでに氷点下です。さ、さぶい

雪山では雪に足をとられ思うように歩けません。

モミの木の森を抜けて進みます。

雪が深くなっているところも。ひざまで来てますね。

ここらへんの森はschutzwaldといって、災害(主に雪崩)を防ぐための役割もしているのですね。しかし、この看板も雪で埋まっちゃってるな。

この周辺はモミ、トウヒ、ブナがほとんどでした。

標高はどんどん上がり、吹雪にあいやっとのことで山小屋に到着しました。

山小屋にあった温度計では-8℃をさしています。

体感温度はきっと-15℃以下だったと思います。ほんと、さぶかった。

山小屋でスープとケーキを食べて休憩したあとは、頂上に向かいます。

がしかし、時間がないのとあまりの寒さと疲れで頂上制覇はまた次回へ持ち越すことに。

今日の頂上は道中が斜面にもかかわらず凍っていてとても危険です。

帰りも相変わらず吹雪きにあい、まさに針が飛んでくるような痛さでした。

しばらく経つと、少し晴れてきました。

アルプスの雪山の景色が本当に美しいです。

この日は全部で17,8km歩きました。

いやー、頑張った。寒かった。きれいだった。

晩御飯はミュンヘンのラーメン屋さんに行きました。

たんたんめん、本当にうまかった。

また来週から頑張ろう。

 

 

 

 

【文献】社会シミュレーションの技法-シミュレーションとは

社会シミュレーションの技法
著者:Nigel Gilbert・Klaus G. Troitzsch
訳者:井庭崇・岩村拓哉・高部陽平
発行所:株式会社 日本評論社
発行:2003年2月25日
 
シミュレーションは、社会の複雑な振舞いが比較的単純な行動の組合せによって創発するという考え方に基づいて、社会的プロセスや経済的プロセスを考察する新しい方法を提供するものです。
  
シミュレーションとはなにか。
  
シミュレーションとは、特殊な種類のモデリングのことです。モデルを作成するということは、私たち人間が現実世界を理解するために普段から行っていることでもあります。モデルとは、ある構造やシステムを小さくして、詳細を省き、複雑さを整理することで、単純化したものです。
 
統計モデルと同じように、シミュレーションには、ユーザによって準備される「入力」と、シミュレーションが実行されたときに観察される「出力」があります。多くの場合、入力はモデルがある特定の社会状態に一致するために必要な属性であり、出力は時間を通じてのモデルの振舞いのことです。
 
例えば、こんな参考をひとつ。今私たちは、人々がどのようにして結婚相手を選ぶのか、ということに関心があるとします。あなたは結婚相手を探すときに、自分の理想を全て満たしてくれるような人に出会うまで相手を探しますか?それとも自分の希望を「十分に」満たしてくれる人を見つけたらそこで探すことを止めますか?実際には、人々はどのような相手探しの方法をとっているのでしょう。この調査をするにあたって、直接本人たちに聞いてみるということは、あまり効率的な方法とはいえないですよね。つまり、彼らは意識的な戦略に従っていないかもしれませんし、たとえそんな戦略があったとしてもそれを打ち明けてくれるかわかりません。そんなときに、妥当と思われるいくつかの仮定からなる「結婚相手探し」モデルを作成します。そこで何が起こるのかを観察し、現実に観察された相手探しパターンとプログラムの振舞いとを比較・検討をすることができます。以上のような例は、シミュレーションの適用方法の典型的なものです。
 
もし、人々がどのように相手を探すかに関する理論があるならば、それを手順として表現することができ、最終的にはコンピュータ・プログラムとして構築することができます。プログラムは、手順を文章で表現するよりも正確なものになるので、理論を洗練するのに役立ちます。つまり、「理論を発展させるための方法」としてシミュレーションは利用することができるのです。
 
理論をプログラムの形にして、いくつかの仮定を設定することによって、そのシミュレーションを実行して振舞いを観察することができようになります。今回の例では、結婚することになるかもしれない人々の集団があって、その各々の人にランダムに設定された「相性」の数値があると仮定します。さらに、この相手を探すシミュレーション上の「人」は、ランダムに選ばれた人と順々にデートをすることができるとします。ちなみに、このシミュレーション上の「人」のことを、一般に「エージェント」(agent)といいます。各デートの最後には、エージェントはその相手と落ち着くのか、それとも別れてまた他の人とデートに行くのかを決めなければいけません。この決定は、まだ出会ったことのない人との相性を知ることはなく、またすぐに振ってしまった相手とよりを戻すという可能性もないという設定に基づいて行われます。実際にどのように振舞うかはここではなしにします(ごめんなさい)。この結婚相手探しシミュレーションはTodd(1997)によるものです。
 
今見てきた相手探しゲームの例は、シミュレーションの目的のひとつである「社会の特徴についての理解を深める」ということを表しています。そこらじゅうで行われているようなデートの行動を観察することは可能ですが、人々の背後にある戦略を直接的に見出すことは難しいため、シミュレーションが有効な手段として考えられます。
 
もう一つのシミュレーションの使い方は、「予測」です。もし現実の一部のダイナミックスを忠実に再現するモデルが作成できれば、時間の経過をシミュレートすることで「未来を覗いてみる」こともできるでしょう。こういったシミュレーションは人口統計学やビジネスにおいても利用されています。そして、もう一つ。人間の能力を「代理」する新しいツールを開発することです。例えば、パイロットがフライトシミュレータを利用するような、訓練のために使用されているものです。また、家庭用のゲームもそうですね。
 
社会科学者がこういったシミュレーションに興味を持ちはじめたのは、「発見」と「形式化」を手助けしてくれる可能性があるからなのです。社会科学におけるシミュレーションの歴史はここでは述べませんが、社会シミュレーションの分野では、「たとえエージェントが単純なルールでプログラムされていても、全体として振舞いが非常に複雑なものとなり得る」ということが、ひとつの研究テーマとなっています。社会システムを分析するための従来の統計的手法は、ほとんど全ての場合が変数の間に線形の関係性があると仮定しています。つまり、ある変数が受ける影響がある変数を足し合わせたものに比例するということですが、これは非常に制限された仮定となります。これに対して、複雑系理論(Waldrop 1992; Kauffman 1995)と呼ばれている新しい学際的分野では、非線形のシステムに関しての包括的な概念が探求されています。
 
シミュレーションは、「空間」と「合理性」を扱う理論にも、有効に適用できます。例えば、地理的な影響は、実際の地域を忠実に再現するシミュレーション上の地形に、エージェントを配置することでモデル化できます。その一つの実例が、グリッド状のセルを用いる「セルオートマトンモデル」です。

Everything should be made as simple as possible but not simpler.

Everything should be made as simple as possible but not simpler.

「物事は全て出来るだけ単純にすべきだ」

アインシュタイン(Albert Einstein)さんの言葉のひとつです。

1879年、アインシュタインさんはここウルム(Ulm)で長男として生をうけます。

生まれてすぐミュンヘンへ引っ越したそうです。

ウルムには国際河川のドナウが流れています。

アインシュタインさんもきっとこんな空気を吸っていたのですね。