【文献】林業と環境-第2章10節 森林の文化的機能

 人に対して森がもっている作用は収穫機能や保全機能、休養機能だけではありません。森林と国民性や国民の民族的特色の間には密接な関係があるのです。ハーゼルさんによると、平地地帯の交易の多い地方の住民は、軽快・開放的・饒舌で商才があるが、森林の多い山岳地帯の住民は忍耐強く、独立的・無口・無欲で沈思する傾向があるそうです。 
 
 森林と国民性の関係は Wilhelm Heinrich Riehl によって100年以上前に研究され、彼の名著「Land und Leute (土地と人)」に記されています。
 
 森林家は、経済的理由から森林の維持を図ろうとするが、社会政策的理由による森林の維持も重要である。森林を根絶すると歴史的な市民社会は崩壊する。原野と森林のコントラストをなくすことはドイツ民族から生活要素を奪うことである。人間はパンだけでは生きていけない。われわれは仮に木材を必要としなくなったとしても、森林を必要とするであろう。肉体を温めるための木材をもはや必要としなくなっても、精神を温めるための森林の緑の活力と生長力の中になるものがますます必要となる。国民生活の脈動を暖かくそして、楽しく打ち続けさせるために森林を維持しなければならない。
 
 Hornsmann (1958) さんは言語、習慣、童話、伝説、歌曲、建築、絵画、詩、音楽に及ぼす森林の影響を指摘しました。姓名の中にも森林に関係のあるものがあります。Blatt、Zweig、Baumがそれ。多くの民話、例えばヘンゼルとグレーテル、赤ズキン、白雪姫、は野生動物や魔女の住む大きな暗い森林のなかでストーリーが展開します。
 
 偉大な音楽は自然と風景の数々の印象を再現しています。例えば、ハイドンのオラトリオ「四季」、ベートーベンのシンフォニー6番「田園」、ブラームスのシンフォニー2番、”Parsifal”の第3幕の Karfreitagszauber、さらに、ブルックナーやマーラーのシンフォニーとシュトラウスのアルプスシンフォニーが挙げられます。特にロマン派には、ウェーバーが”魔弾の射手”と”Euryanthe”で森林での体験を表現しています。シューベルト、シューマン、メンデルスゾーンの歌には森林の空気が息づいている。
   
これらの作品には、ドイツ人がいかに森林に愛着をもっているか、そして森林がドイツ人の故郷であり、力の源泉であることを言葉以上に的確に表現している。
 

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