【文献】たぬきの冬

たぬきの冬
著者:石城譲吉(いしがき けんきち)
発行所:朝日新聞社
発行:1981年3月30日

目次
キツネの七変化
キツツキと木つつき
タヌキの冬
カインの末裔
種の輪郭
ヒグマ数理学
エゾリスとチョウセンゴヨウ
鳥の中のサル
モズと先生
心のカワウソ
アオサギの挽歌
イタチ風雲録
スズメのお宿
私のクロツグミ
あとがき

正月休みを利用して以前からじっくり読みたいと思っていた本を読むことにしました。
働くときはしっかりと働き、休むときは心からくつろぐ。
オンとオフの切り替えが下手なかみつキッドは、仕事の効率が(おそらく?)良いドイツの人たちを見習いたいと思います。
  
今回読んだのは「たぬきの冬」という本で、北海道の自然と野生動物たちのヒトとの関係を面白く表現されている書記です。本書は残念なことにすでに絶版されているようですね。
環境省より出向されている先生にこの本を薦められずっと読む機会を逃していました。
ちょっと難しい数式が少しだけでてきますが、これは動物生態学の専門書ではなくて一般向けの読み易い内容になっています。
現在では自然保護や環境共生といった言葉が一般常識のようになっている風潮がありますが、
この30年ほど前の著書から、人の自然に対する根本的考え方の移り変わりがわかるようです。
特に、クマを護りたい狩人のおじいさんが著者に「北海道にはヒグマが何頭いるのか?」という単純な問題なのに現状では答えがでない質問を投げかけ、悩む著者がその問いからヒトと自然と野生動物との関係を考えていくシーンがよかったです。
この話の最後にこう書かれていました。 
 
私の胸の中には、今も爺さんの言葉が消えることはない。
「クマは恐ろしい奴だ。あれは人や牛を一撃ちで殺してしまう。そしてわしら人間も、奴らを殺してきた。それはやむを得んことだったんだ。だが、もうこれからはちがう。わしらが鉄砲をすて、奴らが住む森を残してやれば、それでもわしらに害をするほど、奴らは馬鹿な動物でねえ」
ほんとうに、爺さんの言うとおりである。
 
かみつキッドもそのとおりだと思いました。
まさに、自然環境をフィールドにした私たちヒトの暮らしと野生動植物たちとの理想的な関係を表現する例だと思いました。
  
著者の石城先生は1934年に長野県諏訪市に生まれ、北海道大学農学部を卒業後、高校教員、北海道大学大学院を経て、農学部付属苫小牧演習林長に就かれました。日本のイワナ研究の第一人者なのですね。現在は北海道名誉教授として大学外の現場でも活躍されているようです。最近の著書には「森林と人間―ある都市近郊林の物語」があります。かみつキッドも日本に帰ってから読みたいと思います。
 

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